「人を殺してはいけない理由」の答えを出せないのはなぜか?~抽象的な概念には条件が必要~

いきなり質問をします。

「人を殺してはいけない理由」は何ですか?

えーっとね、被害者が殺されたら悲しむから!

なるほど、だけど「人を殺してはいけない理由」「被害者は殺されたくないと思っている」という条件は含まれていないよね?

つまり「人を殺してはいけない理由」「人を殺してはいけない」としか、わからないということか。

そうです。

そもそも「人を殺してはいけない理由」とは「被害者は殺されたくないと思っている」などの条件を含まない抽象的な概念であるため、決まった答えを出すことはできません。

例えば、数字をあてはめる前の公式を想像してもらえるとわかると思います。

「A+B=Cの答えがCになる理由を説明しなさい」と言われても、「Cになるから」としか答えられませんよね?

これと同じ現象が「人を殺してはいけない理由」にも起きているわけです。

ではどうすれば、答えが出せるようになるのか「人を殺してはいけない理由」にいくつかの条件を付けながら考えていきましょう!

答えをすべて正解にする方法

「人を殺してはいけない理由」に答えを出すために考えてきた人はたくさんいると思います。

  • 被害者が悲しむから
  • 法律で禁止されているから
  • 人を殺していい世界に生きるのは不安だから
  • 人口が減るから
  • 人の命は尊重されるべきで奪ってはいけないから
  • 犯罪者として一生その罪を背負わなきゃいけないから

……etc.

ネットでもこういうのをたくさん見かけ「みなさん本当によく考えているな、すごいな」と思ったのでこれらすべてを正解にしてしまいましょう!

やった、みんなの考えどれも正解になるんだって!
頑張って考えてよかったね!

素晴らしい答えの多さに感動したよ!
一つの概念から無限の解釈が生まれる、その様を眺めるのは楽しいからな!

「人を殺してはいけない理由」に対する答えをすべて正解にするには、「この概念に対する答えは人の数だけ存在する」という条件を付け加えればよいのです。

こうすれば、いかなる答えを出そうとも正解となりますね?

質問の方も

人を殺してはいけない理由は何ですか?

から

人を殺してはいけない理由、みんなの意見を聞かせてくれー!

に変更されます。

ただしこれでは自由に答えを出せるものの、絶対的で一つの答えを出すことはできません。

そこで絶対的な答えを出すために、条件を付け加えた例をいくつか紹介していきます。

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絶対的な答えを出すための条件例

※この記事のテーマは「人を殺してはいけない理由」が中心となっているため、死刑や戦争もそれを前提として解説します。

「A+B=C」に当てはめながら考えてみる

まずは「A+B=C」という公式に「理由+条件=答え」とあてはめながら考えてみましょう。

なにこれ、もう数学じゃん?どうしてそんな発想になるの?

数学は論理思考に役立つというだろう?
だからそれが本当なのかを試しながら解説しようと思ってね…

全く意味がわからないよ!
君も、神里は変人だって思うでしょ…ねぇ?


例1.「被害者が悲しむ」という答えを成立させるための条件

「被害者が悲しむ」という答えを成立には、どんな条件が必要となるでしょうか?

まず理由と答えはわかっているため、

「人を殺してはいけない+B=被害者が悲しむ」

という式が成り立ちます。

そしてこのBは「被害者は殺されたくないと思っている」というのが当てはまりますよね?

つまり、「人を殺してはいけない理由」「被害者は殺されたくないと思っている」という条件を付け加えなければ「被害者が悲しむ」という答えは成立しません。

また実際にこの条件を付け加えた質問をすると…

殺されたくないと思っている人を、殺してはいけない理由は何ですか?

となり、返事をする方も…

被害者が悲しむからです!

といったように絶対的な答えを出せるようになりますね!

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例2.「法律で禁止されている」という答えを成立させるための条件

「法律で禁止されている」という答えを成立させるには、どんな条件が必要となるでしょうか?

まず、これも理由と答えがわかっているため

「人を殺してはいけない+B=法律で禁止されている」

という式が成り立ちます。

そしてこのBは「加害者は罰を与えられたくないと思っている」というのが当てはまりますよね?(他にもさまざまな条件がありそうですが、今回はこれでいきます。)

これも同じように、「人を殺してはいけない理由」「加害者は罰を与えられたくないと思っている」という条件を付け加えなければ「法律で禁止されている」という答えは成立しないのです。

条件を付け加えれば、この質問も…

罰を与えられたくない人が、人を殺してはいけない理由は何ですか?

となり、返事をする方も…

法律で禁止されているからです!罰せられちゃうよ?

といったように、絶対的な答えを出せるようになりましたね!

このように「人を殺してはいけない理由」は、抽象的な概念であるため、絶対的な答えを出すには条件を付け加えなければならないのです。

それゆえに、人々はこの問いに対し自分なりの条件を付け加え、絶対的な答えを出せなくなるのでしょう。

そういうことだったの!?だから誰もが考えに考えるけど、すべての人を納得させる答えは出せなかったんだね!

そうなんだよね。みんな頑張って答えを探したんだけど、「数字のあてはめられていない公式」が解けないのと同じで「人を殺してはいけない理由」も解けなかったのさ。

ピースが一つしかなく、他は失くしたパズルを必死に完成させようとしていたのだな!これは無理だ。

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あらかじめ決められた条件の答えを考えてみる

上記では、絶対的な答えを成立させるために、どんな条件が必要なのか考えていきました。

次は元から条件が決まっている場合、どのように答えを出せるのか考えていきます。

※ここのテーマは本記事の内容を説明するものというよりかは、ただのオマケですので興味がない方は飛ばしても構いません。

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例1.「人を殺してはいけない理由」を前提とした「死刑」

死刑制度が故意的な殺人を減らすための役に立たなかったと仮定する。このとき、なぜ役に立たなかったのか?また、どうすれば故意的な殺人を減らせるのかを答えよ

上記のように条件が最初から決められている場合、答えるべき部分が明確となりますね?

では実際に考えてみましょう!

まず一つ目、死刑制度が故意的な殺人を減らす役に立たなかったのはなぜか?

この例を…

仮定の通りに死刑制度が故意的な殺人の減少を目的としているならば、その対象の「死刑になりたくない」という心境を狙っていることとなる。
しかし実際には、故意的な殺人を行う者の多くが「死刑になってもいい」と考えていたため役に立たなかった。

としましょう。

それから二つ目、死刑制度が故意的な殺人を減らすためにはどうすればいいのか?

この例を…

故意的な殺人を行う者の多くが「死刑になってもいい」と考えている場合、死刑ではなく、生きたまま罰を与え続けるようにする。
そしてその姿を世に伝えれば、死にたくても死ねない罰に怯えて、故意的な殺人を犯せなくなる。

としましょう。

このように条件があらかじめ細かく決められていれば、答えも出しやすくなりますね。

そしてこの例から「人を殺してはいけない理由」を挙げるならば、「罰に怯えて生きることになるから」というのが答えになってきます。

最後にもう一つ考えてみて、まとめに入りましょう!

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例2.「人を殺してはいけない理由」を前提とした「戦争」

A国は土地の拡大のため隣接するB国を攻撃しはじめた。この戦争を行ったところA国は勝利し、拡大を成功させた。しかしそれは一時的なもので、国の一部を奪われたB国は反撃し、A国を攻撃する。この戦争ではB国が勝利し、A国の土地の大きさは元に戻ってしまった。

このことから戦争は一時的な目的達成となっても、継続的な維持は難しいものであるとわかる。

ならば戦争をせずに土地を拡大させる方法はあるのか?それは継続的に維持できるのかを考慮し答えよ。

実際にも、戦争以外に土地の拡大を可能にする方法があればいいですよね?

国の代表がいかなる思想を掲げていたとしても、戦争は国民だけでなく、そこに生きるすべての生物にとってただの迷惑でしかありません。

FFXIVでもゼノスが言ってたよね?
「戦いとはな、愉しむために行うべきなのだ。」

戦闘狂の彼でも戦争はつまらないらしく「退屈な戦」と言っていたね。
同じ戦いでも、負の感情と負の感情をぶつけ合う「戦争」と互いの力を示し合い、高め合う「勝負」は違うからな。

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では話を戻し、戦争をせずに土地を拡大する方法と、それは継続できるのかについて考えてみましょう!

こちらの例は…

戦争をせずに土地を拡大するには、まず隣接するA国とB国が対立ではなく協力するべきである。
そして協力関係を結んだあとには、お互いの土地に共有で使えるスペースをつくる。それから片方の土地が足りなくなったときに限り、もう片方の共有で使える分の土地を貸すというルールを設定すればよい。

そうすることによりお互いの国に信頼が生まれ、土地が足りない問題は継続的に解決される。

こうすることにしました。

人によっては「なんだこの理想論?」と感じるかもしれませんが、実際に戦争を経験しているわけではないので大目に見てください。

戦争を経験している人であれば「こんなことできるわけないし、したくもない」と思う人がいるかもしれません。

なのでその事実を受け入れて、否定しません!

この例から「人を殺してはいけない理由」を挙げるとするならば「恨まれ、復讐され、戦を繰り返すだけだから」となるでしょう。

これは条件があっても答えるのが難しい問いだったな。
人間は理性と感情の両方を持ち合わせて生きている。ゆえに論理的に考えて実行できそうなことでも、感情によってできなくなることもある。

どっちかに偏らずに両方を検討していけばいいんじゃない?
上手くいかなくてもいいんだって完璧主義になることもやめてさ!

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まとめ

今回の記事では「人を殺してはいけない理由」の答えを出せないのはなぜかを解説しました。

「人を殺してはいけない理由」とは「A+B=Cの答えがCになる理由」「数字のあてはめられていない公式を解く」のと同じくらい抽象的な概念であるため、条件を付け加えなければ絶対的な答えを出せないのでしたね。

なのでこれからは「人を殺してはいけない理由」を誰かに質問したい場合、その条件となるものを付け加えておくことを意識してみましょう。

そうすることで相手も答えやすくなります!

また子どもなど誰かに「人を殺してはいけない理由」を質問された場合には、「どんな人を?」「どういった場面で?」など条件を考えさせるようにしてみましょう。

そうすることで相手も納得する答えを返しやすくなるでしょう!

同時に数学が論理思考に役立つのは、本当だということもわかったぞ!

それ、この記事の目的と関係ないよね?
どうして関係のない答えまで見つけちゃうんだよ?

戦争は一時的な目標達成をするだけで継続はできないだとか、人間は理性と感情を持ち合わせているから、論理的に実行できそうなことでも、感情によりできないことがあるだとか…全然関係ないな。

もういいだろ?

ありがとうございました!

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