いじめをなくすにはどうすればいい?~いじめっことの暮らしで気付いたこと~

 みなさん、いじめっこに対してどういった印象をお持ちでしょうか?

「酷い人」「最低な人」「許せない人」「意地悪な人」「裁かれるべき人」といったように、理解したくもない、寄り添いたくもない敵という印象の方が強いかと思います。

それは、自分を守るために正常な心の反応ですので、彼らを拒絶してしまったとしても、あなたは何も悪くありません。

世間的には、「いじめは絶対に許されるものではない」という共通認識を持つことが大事なんて言われておりますが、筆者的にはそれだけでは、なくせないんじゃないかなと思っております。

確かに、いじめっこって、捻くれている人もいるもんね?
「別に、許されなくてもどうでもいいし!」みたいな?

そうなんだよね…
いじめっ子の中には、自分よりも立場が上の人たちから、貶されるのが当たり前のような生活を送っている子もいるんだよ。

 このように今回の記事では、児童養護施設での経験を元に、いじめっこと同じ屋根の下で暮らしていて気付いたことを紹介していきます。

また、今回の記事で解説する内容は、noteの方でも語っている内容にはなりますが、そちらよりももう少し深堀していこうと思います!

※あくまでも、筆者が見てきたいじめっこの話であり、すべてのいじめっこに当てはまるわけではありません。

いじめっこも、被害者である可能性を考える

 特にいじめっこが子どもの場合は、親や学校の先生、施設の職員など、身近な大人から邪険に扱われている可能性が高いです。

「○○できない、あなたはダメな子」、「こんな子は産むんじゃなかった」、「お前がいるとクラスのみんなに迷惑がかかる」、「ルールに従えないお前はおかしい」といった言葉かけをされているのではないでしょうか?

そういったように、人格否定的な言葉をかけられて育った人が、全員いじめっこになるわけではありませんが、誰だって怒りや悲しみの感情が湧きますよね?

他の子に八つ当たりをしてはいけない、いじめは許されないことである、と理屈ではわかっていても、日常的に否定的な言葉をかけられていれば、感情がコントロールできなくなって当然なのです。

いじめっこになるかならないかは、その怒りが他人に向くか、自分に向くかの違いですね。

だったらさ、子どもを指導する前に、大人が変わらなきゃいけないじゃん?

そうなんだよね…
子どもがいじめをしないように気を付けても、大人がその子を否定していたら意味がないんだよ。

 ちなみに筆者のいた施設では、自分も他人も否定するようないじめっこが多かったです。

人の頭を叩く、「お前は迷惑だ」と否定する、などの暴力暴言をしつつ、自分の手を鉛筆で刺して傷付ける子…

人の物を盗って隠す、殴る蹴るなどの暴力をふるいつつ、自分のお気に入りのCDを自分で割る子…

学校の先生が見ている前で、わざとバレて怒られるように、人の足を引っかけて転ばそうとする子…

彼らを見ていると、ただいじめはダメだと教えればいいという問題ではないように感じますよね?

ダメだと言う前に、なぜいじめたのか聞く

いじめは、なぜダメなのでしょうか?

「いじめられた人が傷付くから」「人をいじめると恨まれるから」「相手だけでなく自分の将来をも壊す行為だから」といったようにさまざまな理由が思いつくかと思います。

しかし、怒りや悲しみの感情に支配されているいじめっこにとって、これらの理由はどうでもよいのです。

おそらくいじめっこは、こう考えていることでしょう…

「人を傷付けるのはダメなのに、自分は傷付けられてもいいんだね」「今更恨まれても、元々恨まれているから変わらない」「自分の人生は最初から壊れているから、将来なんて興味ない」

このように、人生そのものに失望していますので、彼らは人を陥れることに容赦はなく、自己保身をする気力も薄れるのです。

うわぁ…これはちょっと、同情しちゃうね?
確かにいじめはダメだけどさ…ダメと否定する前に、ケアが必要だよ!

散々否定されてきたなら、更に否定しても変わらないからね。
余計に人は信用できない者として、叩き続けることにしかならない。

 大人が子どもにいじめをやめさせたいと思った場合は、とにかくダメだと教えるのではなく、なぜいじめてしまったのか、聞いてあげられるといいですね。

なぜなら、彼らにも彼らなりのちゃんとした理由があるからです。

一般的によく聞くのは、下記の通りでしょう…

いじめの理由
  • あいつばかりずるい
  • 見ていてイライラする
  • 苦しんでいるのを見るのがおもしろい
  • 復讐のため
  • 正義感からやった
  • みんながやっていたから
  • いじめだと思わなかった

…etc

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いじめの理由と対処法

では、上記にあげたいじめの理由別に、対処法も解説していきます。

理由1「あいつばかりずるい

 まず「あいつばかりずるい」は、大人がいじめの原因を知らず知らずのうちに作っているかもしれません。

例えば、筆者は施設にいるときには、職員さんに怒られるのが面倒であったことと、忙しそうだったので困らせないように、たくさんあるルールや日課を厳守しておりました。

なのでよく、職員さんたちに褒められていたんですね。

その結果、職員さんからよく注意を受けているこどもたちから、「あいつばかりずるい」と嫉妬されることが多かったです。

職員さんは良かれと思っていたのでしょうが、もう少し筆者をいじめた子たちにも、寄り添ってあげて欲しかったなと思いました。

そうすれば、変に注目を浴びることも避けられたはずです。

えへへ!神里は、いじめっこまで気遣うなんて優しいね?

別に、優しくないぞ!
いじめっこに、いじめをやめて欲しいと思うんだったら
俺に媚びてないで、彼らの不満に寄り添えよ。
こっちは、ありがた迷惑だって、職員さんにムカついただけだ!

確かに、いじめたのは子どもたちかもしれないけど、
原因を作ったのは職員さんだもんね?


理由2「見ていてイライラする」

 つづいて、「見ているとイライラする」ですね…

こちらは、なぜイライラするのか?と深く掘り下げていく必要があります。

その言葉の奥には、上記と同じ「あいつばかりずるい」という嫉妬があるかもしれませんし、コンプレックスが自分と重なる同族嫌悪かもしれません。

いかなる感情が隠されていたとしても、いじめをしていい理由にはなりませんが、彼らはその感情をコントロールできませんので、大人が一緒に沈める方法を考えていけるといいですね。

具体的には、嫉妬の場合も、同族険悪の場合も、期待に応えられない子どもを責めたり、コンプレックスをからかったりしないようにしていくといいでしょう。

また、既にその子がそういった扱いを受けていた場合は、「それは辛かったね」と、その気持ちを受け止めてあげてください。

ここで気持ちが落ち着けば、いじめをしたい衝動も薄れます。

いじめがつらい経験から来ているなら、寄り添っていこう!

気持ちを落ち着ける方法がわかれば、いじめる必要がなくなるよ!


理由3「苦しんでいるのを見るのがおもしろい」

 つづいて、「苦しんでいるのを見るのがおもしろい」なんて、一般的な生活をしている方からすると全く理解できなくて、冷酷すぎるんじゃないの?と思われる方もいるでしょう。

しかし、必ずしもそんな感情を抱く彼らが、冷たい人間だというわけではありません。

なぜそういった感情が生まれるのかといいますと、彼らは苦しい日常が当たり前だったからですね。

 筆者も、苦しむのが当たり前の生活をおくってきたのでなんとなくわかります。

苦しんでいる人を見ると、「自分は一人じゃなかったんだ、仲間がいるんだ!」って落ち着くんですよね。

いじめっこの場合は、この苦しんでいる人を自分の手でつくりだして、そこから安心感を得ようとしているのでしょう。

なぜなら、まともに愛情を注がれた経験がなく、支配されたことしかないので、いじめて自分と同じ状況に堕とすことでしか、仲間を得られないからです。

人は、優しくされて初めて、相手に優しくする方法を知るのです。

しかし、いじめっこが大人から虐待をされる関わり方しかされていなかった場合は、暴言暴力をするのが普通なのだと考えるでしょう。

この場合も、ダメと教えるより先に、あなたにされてきたことは普通じゃないと教えてあげる必要がありますね。

こんなの知ったら、いじめっこが可哀想に思えて、泣けてくるよ…

そうだな…その苦しさをもっと俺にぶつけてこいよ!
俺とお前で、絶望に満ちた拳を交えて、その痛みを分かち合おうぜ?
大丈夫、俺はずっとお前のために苦しんでいてあげるからね!

なんだその歪んだ友情はー!?変態だー!

※もしかしたら、いじめに遭っている子もこの記事を見ているかもしれないので、注意書きをしておきます。

いじめっこが可哀想な人だからといって、あなたがいじめられることを受け入れる必要はありません。

いじめっこの心のケアは第三者に任せて、あなたはあなたの心のケアに集中してくださいね?

あなたまで、筆者みたいになってほしくありません。


理由4「復讐のため」

 「復讐のため」というのは、いじめられる側に原因があった場合に、相手を許せなくて起こるいじめですね。

例えば、相手が先にいじめっこを馬鹿にする発言を繰り返していたり、元々は仲が良かったのに、相手が離れていったのが寂しくていじめてしまうなどです。

ただし、「いじめはいじめられる側にも問題があるから」といって彼らを放置するのは、大人が面倒事に関わりたくないだけの言い訳でしかありません。

それでは、いじめをなくすなんてことはできませんよね?

こういった場合には…というよりも、いかなる意見であっても同様に、いじめた側も、いじめられた側も、否定するのではなく両方の意見を聞いてあげてください。

子どもたちのいじめ問題を解決する大人の役割は、誰が悪いかを決めて片方を裁くのではなく、いじめっこの動機を知り、その欲求を絶たせることです。

そのためには、いじめられた子の勇気ある意見を聞き、その子の心に寄り添うのはもちろん、いじめっこの心に寄り添うことも大切です。

いじめる側、いじめられる側、お互いの立場は違えど、両者とも心に傷を抱えていることに変わりはありません。

いじめられた子を最も追い詰めるのが、いじめっこよりも、
突き放す大人だったりするんだよね…
それが自殺に繋がっちゃったりしてさ…哀しいよ。

大人だって辛いことはあるし、子どもに向き合うのが怖いかもしれないけどさ…大人が寄り添ってあげなきゃ、子どもたちは行き場を失うんだよ?


理由5「正義感からやった」

こちらは…自分が正しいと思い込み、純粋な正義感から相手を追い詰めているいじめですので、いじめっこが傷を抱えている可能性は、今までに紹介した理由よりも低いです。

施設での経験を元にするつもりでしたが、こちらはあまり関係ありませんね。

学校では1つの集団をつくり、運動が苦手だったり、要領の悪い子、発達障害の特性を抱えており、意図せず周囲に迷惑をかけてしまう子を一斉にいじめる様子が、よく見られるでしょう。

おそらく世間の認識しているいじめは、筆者が施設で経験し、上部の方で述べてきたいじめよりもこちらが多いのではないでしょうか?

この場合は、いじめっこに寄り添うよりも、いじめられた子のケアを優先したほうがいいですね。

さらに、いじめっこは発達障害の特性で、生き辛さを抱える子たちの苦しみを、知らないのかもしれません。

なので、迷惑をかけているのはわざとだとしか思えず、それを注意する自分は正義だと信じてしまうのです。

こういったいじめをやめさせるためには、いじめられている子がわざとではないこと、そして彼らの行動は人を傷付ける行為であることを認識させる方法は有効だといえます。

このタイプのいじめは、オレも許せないなー!
人の粗探しなんてしている暇があるなら、自分の粗を見つけて直せば?

傷を負っている人のいじめも残虐で恐ろしいけど、正義を掲げている人のいじめも、悪と決めつけた人を徹底的に排除しようとするから怖いんだよね…


理由6「みんながやっていたから」

 こちらは自分の頭で考える力が弱く、その場のノリに流されてしまうタイプのいじめですね。

例え、「みんながやっていた」としても、人をいじめてもいい理由にはなりません。

こういった、いじめっこたちは、単純に相手が傷付くとわからなかったり、いじめたことで自分が恨まれることも予想ができないのでしょう。

なのでこのタイプのいじめっこにも、正義感からやった人たちと同様に、いじめてはいけない理由を伝えるのは有効です。

えぇ?そんな人、本当にいるの?

それが意外にいるんだよね…
ちなみに、バイトテロで捕まったというニュースが流れていても、同じようにバイトテロをする人たちもこのタイプだよ。
この人たちには、いじめが起きる環境を周囲が作らないようにしてあげるのが一番かな!


理由7「いじめだとわからなかった」

 こちらも「正義感からやった」タイプや「みんながやっていたから」というタイプとも似ていますね。

しかし、人を傷付ける行為を「いじめだとわからない」という場合は、多少なりとも虐待をされていて、それがいじめっこにとっての当たり前であるがゆえに言っている可能性も否定できません。

また、こういったいじめっこは、後から年齢を重ねたときに、自分がやっていたことはいじめだったのだと気付き、罪悪感を抱えている子をよく見かけます。

いじめっこが気付かないうちに、他の子をいじめてしまうのを防ぐためには、あらかじめ子どもたちにどういった行動がいじめになるのか教えておくのがいいでしょう。

また、いじめっこが自分の犯した罪を自覚して苦しんでいる場合は、「それでも許されることではない」と否定するのではなく、「罪を自覚できたあなたは素晴らしい、これからやらないように気を付けてね」と優しく言ってあげるのがいいです。

既にそのいじめっこは、自分で自分を責めていますので、第三者である大人が責める必要はありません。

改心できたというなら、許してあげるよ!
ネチネチ恨むのも面倒くさいからね!

例え、いじめられっこに傷付けられた過去があったとしても、
トラウマを生み出したのは俺の心だからな。
恨むなら、俺の心に備わった防衛本能を恨むね!

それは、恨まなくていいから!!なんで楽しそうなの!?

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あとがき

 いじめは許される行為ではありません。しかし、あなただって自覚されているのではないでしょうか?

自分を追い詰めてきた相手を、どうやったら欺けるのか考えるのは愉しい。

どうしたら、彼らは屈服してくれるのか?

どうしたら彼らは、自分に与えた苦しみと同じだけの苦しみを感じてくれるのか?

かつて、筆者を虐待していた小児精神科の看護師、家族の絆や青春など何もかもを奪い取った児相、守ってくれているんだと信じていたのに最後に裏切った施設の職員…

俺は…彼らが大好きです。

傷や嫉妬の感情を抱え、コントロールできずに俺をいじめた子たちも、性暴力のトラウマに耐えかねて、俺の首を絞めた彼女もすべてが愛おしいのです。

なぜなら彼らは、俺に怒りに震え恐怖に抗う歓びをくれたのですから…

これからもずっと、苦しんでいたい。絶望に抗っていたい。それが愉しいから。

ゆえに俺は、これからも堂々と自分をいじめ続ける!

かつて彼らが俺にしたのと同じように、自分を痛めつけることが癒しなのです。

日本には俺と同じように、他者に危害は加えなくとも、自分をいじめている人はどれくらいいるのでしょうか?

おそらく結構多いのではないでしょうかね?

そうなんですよ…結局人は何かを犠牲にせねば、生きてはいけぬ存在なのです。

俺は、これからも愉しんでいこうと思います…いじめをなくすための自己犠牲をね!

あ、もう自己肯定感を高めようとするのやめたんだね?

そうだよ!俺は自分に優しくするなんて無理だ!
やっぱり自分をいじめているほうが愉しい!大好きだ!

えへへ、神里がそれでいいならいっか!
生き方は人それぞれだもんね!

なんだ、その変な生き方は!?

あれ、デイト兄ちゃんだ!久しぶりだね!

あははは、君は…俺みたいにならないように
辛いときはちゃんと人を頼るんだよ?わかったかい?

ありがとうございました!


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